天気の良い日は大賑わいの公園も、雨降りの日は、人気が少なく、とっても静か。
小雨程度であれば、傘を差しウォーキング。
公園と言えば・・・
二十数年前の8月末に、生まれて初めて海外一人旅へ出掛けたことを思い出す。
当時、福岡から東京に転勤になって3ヶ月が過ぎた頃。
初めての仕事内容と慣れない大都会の一人暮らしに疲労困憊の日々。
夏季休暇を取得し、大金を叩きニューヨークへ一人旅へと出掛けた。
まだまだ、iモードでメールくらいしかやったことのない時代。
旅の友は、もちろん『地球の歩き方』
何故?ニューヨーク?
東京よりも人が多く、言葉が通じない大変そうなところへ行けば、東京で働くことくらい何の苦でもなくなるのでは?という動機だった。
かなり追い詰められた動機だったね・・。
そして予想通り、みんな忙しそうだった。
多民族で溢れかえるニューヨーク。
中国語やイタリア語訛りの英語は、全くと言っていいほど聞き取れない。
私の鹿児島弁訛りの英語で粘ったところで、「チッ」と言われ、スルーされてばかり。
希望通り(?)東京の方がマシだと感じた。
旅行中、セントラルパークへ行ってみることにした。
その日は晴天。
絶好の散歩日和。
セントラルパークは観光名所だし、「少しくらい一人で歩き回っても大丈夫だろう」と、安易に考えていた私の心を見透かしたかのように
近くに停車していた消防車から1人の若い消防士さんが降りてきて、私に話しかけてきたのだ。
すっごくゆっくりと発音してくれたから、今でもこの部分だけは覚えている。
「Don’t go there alone」だった。
危ないからひとりで行ってはいけない。ということ。
プラス、地下鉄の駅への道順を教えてくれて、帰りなさい。と。
私は、彼の教えを守り、セントラルパークを端から眺めるだけにして、地下鉄に乗った。
緊張と寂しさを感じながらのニューヨーク滞在を終え、帰国。
あちこちと積極的に出掛け、ひたすら歩き回ったわりに、いま思い出されるのは、そのセントラルパークの場面だけ。
そして、帰国から1週間が過ぎた夜。
9・11テロが起きた。
テレビで映像を見た瞬間、その消防士さんのことが真っ先に頭に浮かんだ。
私は泣いた。
生きているだろうか・・・?
343人の消防士と救急救命士の命が犠牲になった大惨事。
自分には、何ら関係のない無防備な観光客の私に声を掛け、危険を知らせてくれた彼の消息を知ることはできない。
でも、近所にある大きな公園を訪れると、たまに、その人のことを思い出す。
顔も声も覚えてないけど、でも、私の人生を支えてくれた方々の一人に違いないことは確か。
あの人が消防車から降りてこなかったら、
「いやぁ~!今日のウルメはムチャクチャ新鮮だよ!」と、ウキウキしながらウルメイワシをさばく夫とも会えてなかったかもしれない。
料理途中のつまみ食い用なのに・・・
水菜のおひたしまで添えてある。
そうそう、
ジョギングやウォーキング中も、身辺には気をつけて。
特にお若い方はね。
無防備をさらけ出す歩きスマホは厳禁よ。
母ちゃんは、おばちゃんだけど。念のためね。