命を守る行動

電車内で突き飛ばされた息子から見える社会を変えることはできる!

25年前の1月17日。

当時、私は高校生だった。

学校の教室のテレビに写し出される映像を呆然と眺めるしかなかった。
火の海と化した街は神戸。

当時は、行ったことのない街の出来事だった。
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その数年後、社会人となった。

一人暮らしも長くなった頃、自宅マンションにて福岡南西沖地震に遭遇した。

震源地に近く、震度6弱の揺れ。

10階建てほどのマンションは激しく揺れ、壁には大きな亀裂が入った。

周辺に駐車している車に搭載された盗難防止装置が、あちらこちらから鳴り響き、周辺が騒然とした雰囲気になったことを思い出す。

6階にあった私の部屋も大きく揺れた。

冷蔵庫は倒れ、その上に設置してあった電子レンジがものすごい勢いで跳んできた。

立て掛けていた大きな鏡や、当時はサイズが大きかったデスクトップタイプのパソコンも跳んでくる。

小さな部屋に逃げ場など無かった。

「モノに殺される。」という恐怖を全身で感じた瞬間だった。

地震発生時に、モノは倒れるのではなく、勢いを伴い跳んでくるのだ。

あの瞬間、モノを減らそうと決めた。

自分の命を守る、そして、自分のことで精一杯の暮らしだった。

そして、結婚して子どもが生まれ、自分の命より守らなきゃいけない存在ができた。
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子どもが小さく、私の目の届く範囲内で暮らしているうちは、自分の家庭さえ守っていれば良かった。

どこへ出掛けるにも子どもと一緒。

子どもと自分が一体となった生活。

私自身が大きな病気も抱えていたので、どこまで続くか?わからない真っ暗なトンネルを懐中電灯を持って歩いているような感覚だった。

そして、子どもは成長し、ひとりで動くようになった。
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私の目が届かないところへ、自らの意志で出て行くようになった。

先日、大混雑する電車に一人で乗車していた息子は、車外に出ようとイライラする中年男性から大きく突き飛ばされ、駅に放り出されたらしい。

親としては、本当に腹立たしいし、その男性をとっ捕まえて、警察に突き出してやりたい。
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でも、仮にそれができたとしても、私と息子は幸せか?

幸せじゃないよね。

それだけははっきりとわかる。

自分ひとりのことで必死だった時代。

幼い子を育てつつ自分の病気とも闘わなきゃいけない時代。
心の中も「必死」や「不安」というモノでいっぱい。

私もその男性と同じようにイライラ。
隙間ナシだったのかもれない。

そして、今。
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この年齢になって、ようやく周りを見回す心の空間が生まれたように感じる。

心の中に少し空間が生まれた人からでいいから、
子ども達が一人で出て行き、そして暮らしていく社会のことを想わなきゃ、息子が遭遇してしまったイライラ人間は増殖する一方だ。

数年前に、お台場にある日本科学未来館を訪れた際に、目にとまったもの。
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1973年にノーベル物理学賞を受賞した江崎玲於奈(えさき れおな)氏が、来館者に宛てた直筆メッセージ。

日本科学未来館内に展示された江崎玲於奈(1973年ノーベル物理学賞受賞)氏のメッセージとは?

来館された皆さんへ


先づ自分の持って生まれた才能を見出し
その育成に努めて下さい。

そして、どうすれば
それを最大限いかせるか、
自分の能力の限界への挑戦をいつも「問い」かけて下さい。

2007年6月20日 江崎玲於奈」

声に出して読んでみる。

小さな挑戦でもコツコツと。

↓これは、3年ほど前のオリンピックスタジアム建設中の写真。
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この頃は、弁当を持って千駄ヶ谷周辺へ遊びに行くことが多かったなぁ。

モノはどんどん姿を変える。

一旦、姿が無くなってしまったら、何があったかさえも思い出せなくなる。

一方、言葉というものは不思議な力を持っている。

ずっと忘れていたのに、ある瞬間、急に意識の中に飛び出してくる。

どんな時でも助け合えるように、ふだんから。

父のように、人に優しくね。

小さな金魚植物にも優しくね。

そうすることで、人が人を突き飛ばす気持ちなど生まれない社会になるかもしれない。